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『ある日ある時』新天地 01
横手に入った頃は、すっかり日が暮れてしまった。
事前に連絡済みとは言え、心苦しかった。
勤務時間はすでに過ぎていた。
しかし、嫌な顔ひとつせず待っていてくれた。
丁寧な応対を受けた。
失礼とは思ったが、時間も時間である、挨拶もそこそこに、早々、用意してある避難者の場所を教えていただいた。
恐らく、ここから、さらに車に揺られて・・・。
「場所は、ホテルになります。歩いて5分程度です。」
アッ、そうか、時間が時間だ、今夜はホテルで、明日改めて、山間部の廃校へ・・・。
「部屋は、三部屋用意させていただきました。」
エッ!?三部屋!?
「今日は、ひとりなんですけど・・・」
「いぇ、ホテルが避難所になってますから、昨年、暮れに出来たばかりの新築ですよ。」
冗談でしょう?
どうも、冗談ではないようだ。
新築ホテルを避難所???
「山間部の廃校の体育館か、使われていない公共施設だと思って来たんですが・・・、二次避難される方は、全員ですか?」
「いぇ、どのくらい避難されてくるのか、わかりませんが、ホテルは、結果的に早い者勝ちの格好になります。」
「ありがとうございました。行ってみます。」
「お待ちしておりました。」
「市の方に伺ってきたんですが、家族で一部屋、マットレスを貸していただければ、一部屋でいいんですが・・・」
「市の方からは、ご家族分、三部屋で、お願いされていまして、三部屋ご用意させていただいております。」
チョット、いくらなんでも。(‥;)
どうも、一部屋になりそうもない「娘と母親、だけでも同じ部屋でお願いします。」
多くの一次避難所の現状を思えば、廊下にマットレスでも、高級なんですが・・・。
どうにか、二部屋にしていただいた。
後日、気がついたのだが、全室満杯になる日は、多くなかった。
恐らく、ホテルにしてみれば三部屋利用が、ありがたかったのかも知れない。
宿泊は誰だろうと関係ない。
お客は、国だったのだ。
一次避難の現状を身をもって知ってる私たちとしては、三人で、二部屋でもあってはならない贅沢だった。
三人で三部屋など、決して受け入れる訳にはいかなかった。
スイッチを入れると電気が付いた!!
なっ、なんと!?蛇口をひねると水が出た!!
トイレが終われば水が流れた。
何時までも止まらない!?
壊れたのかと思った。
ユニットバスがあってお湯が出た!!
二十日間の非日常から、急激、日常にタイムスリップ戸惑うことばかりだった。
暖房!?とんでもないことだ!!即、停止させて、眠りについた!!
朝、目が覚めても、暖房のスイッチを入れる気にはならなかった。
![]() ホテルを一歩出ると驚いた!! |
![]() 水路は、ゴォーゴォー!!恐らく、雪解けの水の勢いなのだろう!! 見ているだけで怖くなってきた。 |
![]() なっ!?なんだ!?この雪は!! 明日から、4月だよなぁ。。。 段々、心配になってきた。。。 |
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