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11/06/06 (月)

『ある日ある時』震災 17

震災画像52  二十時消灯、六時起床の、これまでの人生で経験したことがない。

 極めて健康的な避難生活が始まった。

 昨夜、深夜になっても避難者がやって来ていたようだ。

 何で深夜に、何でなのではない。

 半島方面から寒さと戦い、睡魔と戦いながら、夜通し歩き続けて、やっとの思いで到着したらしかった。

 自分達のたかだか二時間ほどの避難行など散歩にも成らない程度だったことを知った。
震災画像53  さて、人数も増え、問題が生じたようだ。備蓄の食料が底をつき始めてる事を知って、車を借り食料調達に出かけた。

 職業柄、津波被害の及んでいないだろう地域、そこまで安全にたどり着ける道順を熟知していた。

 目指す場所に着いた、津波の被害は及んでいなかったが、ライフラインは同じように絶たれていた。

 商業地域、人が集まってる場所、それは、何がしかの営業をしている場所。

 程なく人が出入りする店舗があった。何の店だろう?衣類を販売する店だった。

 瞬間、今、自分がつけている物は、二、三日経過していたし、下着一枚無いことに気づいた。
震災画像54  時間が遅かったこともあって、男性用は数が少なかったし、靴下はあったのだが、下着はなかった。

 元々、婦人用が主な店だったのかも知れない。

 そうだ避難してる人たちも、同じはずだ。

 買えるだけの下着類、買えるだけの靴下類を買い込み、戻ってから事務所に置いた。

 「私たちのは?」「えっ?(‥;) 無いの!?」しばらく口も聞いて貰えなくなったのは言うまでも無い。

 「事務所に行けばあるから」と、宥めてもダメだった。(;_;)
震災画像55  一瞬戸惑ったが、年配の方用なのか?幾分、大柄な物も自分用に購入。

 その夜から着用した。

 生まれて初めて異性の下着を着用したが、大柄なこともあって、さほど、不自由は感じなかった。

 肝心の食料。

 ヨークベニマルの店先に人が集まっていた。

 店頭販売をしていた一人五品まで、こちらも終了間際、満足な物は手に入れられなっかった。

 お湯を注いだだけで食べられるスープ5袋のみ。

 そうそう、ヨークベニマルなどとは、比べものにならないくらいの規模のイオンがあった。
震災画像56  店舗に到着して驚いた!?

 入り口という入り口は、数十人の男性社員でガード!?

 『突破できるなら、突破してみろ!!』

 人間とは思えないほどの眼光を光らせ、全員同じように威嚇して来た!?

 何なんだ!?訳もわからず、そうそうに、その場を離れた。

 あの訳のわからない異様な対応には、数日怒りが治まらなかった。

 『人間不信』『東北人不信』にも程がある!!2016-11-22 Tue 12:32 思い出すと今でも怒りがこみ上げる!!
震災画像57  他に、食料を売ってくれる店はないのか。オッ!?

 信じられない光景が眼に飛び込んできた!!ケースで自家用車に積み込み買い物をして居る集団があった!!やった!!

 早速、買い物を始めようとしたが、どうも雰囲気が変だ。

 会員制?どうやら会員以外には販売しない店舗だった。

 どおりで店内のプライスカードは、すべて安価だったわけだ。

 しかし、こういった店の存在など全く知らなかった。

 クレーム防止の為なのか、善意なのか、2リットル入りのぺっとボトル飲料1本とクッキー1箱無料で配っていた。確実なクレーム防止だ。

 販売を粘る気にも、抗議する気にもなれなかった。

 ヨークで購入できたスープ5袋他では、どうにもならない。
 津波被害のない巨大な商業地域、営業してる店は、殆どなかったし、再開するような雰囲気も、まったく、感じられなかった。

 まず、電気が来ていない。

 給油ポンプを稼働できないガソリンスタンドは、どこも営業できないで居た。

 ガソリン給油の約束をして借用して来たのだが、叶わなかった。

 これは容易ならざる事態が進行していることを思い知らされた。

※ 避難所近くにも、中規模のイオンがあった。

 シャッターというシャッターは、すべて閉じられ、人を寄せ付けない意思を持ったように、相変わらず不気味に存在していた。

 ある日、珍しく店舗内の物資をトラックに積んでいた。

 近くの避難所の中学校に搬送してるとのことだった。

 今思えば、腐敗、賞味、消費期限切れ対策で、放出しただけのようだ。

 どこまで人間を愚弄すれば気が済む企業なのだろう。

 その後、店頭販売もはじめたが、初日には、客よりガードマンの数の方が多いんではないかと思えるほどの物ものしさだった。

 もちろん、ヨークベニマルも、ホーマックもガードマンなど一人も居ない状態で販売していたのは言うまでもない。

 この企業、グループの人間不信は、いったい、どこから来てるのだろう?

 この企業の体質が白日の下に晒され日は、必ず来ることを確信する。

 さらに驚いたのは、店頭販売を始めた初日、売場半分以上のスペースにペットボトル入りの水を堆く積んでいた事だ。

 何を考えてる企業なのだろう?

 どこまで被災者を馬鹿にすれば気が済むんだ!!

 給水車による給水がすでに始まって、水など必要ないだろう!!

 結果、殆ど売れない水が、いつまでも山になって残った。

 こんな企業店舗からでも、買うしかない現状、買えない現状、なんと貧弱な商基盤なのだろう。


 それは、新天地でも同じ現状だった。

 これと言って手軽な食事場所が少ない新天地。

 被災地での出来事は出来事として、利用せざるを得ない。

 主に、平日だが、どこのお店も貸し切り状態、ゆっくり食事できるのでありがたい。

 過日、祭日月曜日!?その雰囲気は家畜のえさ場、野生動物の水飲み場状態だった。

 子供連れ、家族、孫の手を引いた高齢者・・・。

 あれでは駅の雑踏の立ち食いそばと変わらない。心底可哀想に思えてきた。

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