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11/05/28 (土)

『ある日ある時』震災 14

震災画像39  途中、壊れて捨ててあった自転車を拾い、荷台、前かごに荷物を積むことができたのは救いだった。

 もちろん、ただ押すだけの機能しか残っていなかったが、重量のすべてを身体に受け止める事が無くなっただけでも大助かりだった。

 休憩、休憩しながらの避難行。コンビニの飲料水で渇きを癒せた、体力も回復してきた。

 あと少し、このあと少しが問題だった。陸橋を登らなくてはならない。

 問題はその手前、道路が冠水していた。比較的、冠水が少ない場所を探して、陸橋に辿り着いた。

 車道両側には、前後の隙間無く自動車で埋まっていた。
震災画像40  津波から避難したものの、暖を取るためエンジンを稼働させたままで過ごしたらしく、燃料が切れて、動こうにも動けない自動車。

 空腹、睡眠不足で虚脱したのか、ただ車中にじっとしているだけの人。

 車からおりて周りの被害状況を見つめてる人。

 中には、キャンプ用品を広げ,橋上キャンプを始めて煙を上げてる一団もあった。

 無人の車が一番多かった。燃料の調達にいったらしいが、後で知ったことだが、すでに半径数十キロの範囲で営業できるスタンドは存在していなかった。

 よくよく考えたら、津波直撃地区なら至極当然だった。
震災画像41  陸橋を下って愕然!?登る手前の冠水とは比べものにならない冠水状態!!

 しかし、今更、迂回は出来ない。自転車、荷物、渡りきることが出来よう点検後、足を水中へ。

 冷たい!!

 渡りきれるだろうか!?

 不安がよぎる。

 選択肢他にはない。

 意を決して進むだけ。幸い最深部でも膝までだった。

 出来る限り、歩道などの水深が浅いところを進んだが、車、瓦礫に阻まれ、そこだけ通るわけにはいかなっかた。
震災画像42  後ろで悲鳴!?反対側の歩道を進んできた二人、胸まで水没してしまった。

 どうやら、所々、歩道下を流れる側溝の蓋が流されてしまった箇所があったらしい。

 安全を確かめた自分の後を付いて来てると思っていたが、

 いつものこと、全く、聞く耳を持てなかったようだ。

 この時、ゲーム機本体、ソフトも水没させてしまい。

 「お兄ちゃんが送ってくれたソフト、だめにした。芙美恵だめにした!!」

 相当なショックと自責の念に駆られているようで、なだめるのに時間が掛かった。

 突然、上の方から人の声、家の二階からだ「だめだ!!穴ある、車道歩け!!」

 そうか、一カ所だけじゃないのか。素直に車道に降りた。
震災画像43  水深が深いさすがに冷たさを増した。

 後ろを振り向き、二人が車道に降りたか、確かめて居ると、

 今度は前方に向かって「ねぇちゃん!!だめだ!!だめだ!!降りろ!!降りろ!!」

 前方を見ると、若い子が歩いてきた自分に言ってるのかどうか、判断しかねたのだろうか、

 二、三歩進んで来たかと思った瞬間、よろけながら、どぼん!!胸まで水没してしまった。

 後日知ったことだが、胸までドボンは、まだましな方で、

 泳いだり瓦礫の下を潜ったりを繰り返しながら孤立した場所を離れざるを得なかった人達も居たようだ。

 24 時間眠らず歩き続けようやく避難所までたどり着いた家族もあった。

 自分たちなど、不思議に恵まれた避難行だったと知った。

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