次ページ ![]() |
![]() |
沙 門 日蓮 之を勘う
法華経の 第七に云く「我が 滅度の後・五百歳の中に 閻浮提に 広宣流布して 断絶せしむこと 無けん」等云云、
予一たびは 歎いて云く 仏滅後既に二千二百二十余年を隔つ 何なる罪業に依って 仏の在世に生れず正法の四依・像
法の中の天台・伝教等にも値わざるやと、亦一たびは喜んで云く 何なる幸あって 後五百歳に生れて 此の真文を拝
見することぞや、在世も無益なり 前四味の人は 未だ法華経を聞かず 正像も又由し無し南三北七並びに華厳真言等
の学者は 法華経を信ぜず、天台大師云く「後の五百歳遠く妙道に沾おわん」等云云 広宣流布の時を 指すか、伝教
大師云く「正像稍過ぎ巳って末法太だ近きに有り」等云云 末法の始を願楽するの言なり、時代を以て 果報を論ず
p.五〇五