御状委細披見せしめ候い畢おわんぬ、夫れ生死一大事血脈とは所謂南無妙法蓮華経是なり、其の故は釈迦多宝の二仏宝 塔の中にして 上行菩薩に譲り給いて 此の妙法蓮華経の五字過去遠遠劫おんのんごうより 巳来このかた寸時も離れざる血脈なり、妙は死 法は生なり 此の生死の二法が十界の当体なり 又此れを当体蓮華とも云うなり、天台云く「当に知るべし 衣正の因 果は悉ことごとく 是れ蓮華の法なり」と云云 此の釈に衣正と云うは生死なり 生死之有れば因果又蓮華の法なる事明けし、 伝教大師云く「生死の二法は一心の妙用・有無の二道は本覚の真徳」と文、天地･陰陽･日月･五星･地獄・乃至仏果・ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　p.一三三六